理事長の上原明でございます。2024年度贈呈式のご案内を申し上げましたところ、皆様方には大変ご多忙の中をお繰り合わせの上ご出席下さいまして、誠に有難うございます。 本年、上原賞を受賞されます神取秀樹先生、柚﨑通介先生のこれまでのご功績に深甚の敬意を表しますとともに、ご受賞を心よりお祝い申し上げます。上原賞は当財団発足時より、顕著な功績をあげ、引き続き活躍中であり、今後さらなる飛躍が期待される日本人研究者に贈ることとされております。 この考え方で今まで68名の先生方が受賞されておられます。 また先生方を支えておられます奥様方にも、改めてお祝いを申し上げます。 今後益々のご研究の発展をお祈りしております。次に、助成金を受領されます皆様方でございますが、本年度は1059名の応募者の中から厳正な選考により狭き門を通り286名の方が採択されました。 心より、お慶び申し上げます。 今後のご研究が発展し、世界の患者さまに光明をもたらすという意味で、その成果を心待ちにしております。 中でも海外留学助成を受けられ、これから海外で研究生活を始める皆様におかれましては、海外での更なるご発展を期待しております。 私の経験上も、海外留学は皆様にとって大きなチャンスと言えます。 いろいろな国の文化や考え方、宗教等に接して別の世界を知ることによって、人間としての幅が広がり、先生方の大きな財産となり、ご帰国後の更なるご活躍に大きな糧となることを期待しております。さて、上原記念生命科学財団は1985年に設立され、ちょうど今年で40年になります。 ここにございますのは、故上原正吉とその夫人、小枝の写真でございます。 上原正吉翁は、大正製薬という企業を大きく成長させてくれた、当社にとって偉大な存在のオーナーでございました。 会社経営と同時に、参議院議員を30年間務めましたが、その間1965年に第2次佐藤内閣の科学技術庁長官を拝命致しました。その時の経験により、資源のない日本にとって研究・開発そして技術が日本の発展にとっては欠かせない条件であるという事を強く強く思いそして亡くなりました。 その遺志を受け継ぎ、夫人である上原小枝名誉会長が当財団を設立し、当時の名取禮二先生、江橋節郎先生を初め、医療や薬学の関係分野をはじめ多くの先生方にご指導を頂きながら、本日まで続けることができました。 昨今の日本の経済成長は、1990代以降GDPが長い間鈍化し続けて参りましたが、そのような時代においても、成長し続けている企業が存在しています。 それらはかつての重厚長大主流から、主にIT産業あるいは研究技術の領域を中心に活躍している企業が多いことが判ります。 まさに研究、技術開発によって新しい分野を開くことの重要性を今さらながら実感しております。当財団は多くの研究者、なかでも若手研究者を支援することに重点を置き、これまでに約11,800名の方に助成金を授与してまいりました。 このような支援が継続できましたのも、ひとえに、当財団の役員・評議員をはじめ皆様方の温かいご支援、ご指導の賜物と、ここに厚く御礼申し上げます。 特に選考委員の先生方には、お一人あたり100件〜200件もの選考をお願いした上、2日間に及ぶ選考委員会の審議によって決定をいただきました。 ここに心からの謝意を表する次第でございます。また、本年は財団設立40周年を迎える節目の年であり、当財団の基本理念に基づいて、助成事業を研究者の皆様の研究意欲を一層高めるような魅力あるものに変革することを目標とし、今後の方向性について討議いただく財団改革検討委員会を開始しております。 2026年度には、新しい時代に即した助成・褒賞制度をスタートできるように進めて参りますので、今後とも、格別のご指導、ご□撻を賜りますよう、切にお願い申し上げます。終わりに臨みまして、今回受賞されました先生方のご健勝とご研究の発展を祈念いたしまして私の挨拶とさせていただきます。理事長挨拶30上原 明 理事長9) 2024年度 上原賞贈呈式(2025年3月11日)
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