私は妻と二人の娘(4歳と2歳)の家族と一緒に留学しています。◎はじめに私は2024年9月より、Brigham and Womenʼs Hospital / Harvard Medical School(Department of Cardiovascular MedicineのProf. Scott Solomonラボ)で、リサーチフェローとして臨床研究に従事しています。◎仕事の内容こちらでは臨床の仕事は全く無く、完全に研究に時間を使えています。 所属しているラボは、私の専門である心不全領域で、複(心エコー)の中核施設でもあります。 現在はそれらの臨床データを用い、自分の興味があるテーマに関して、必要に応じてエコーの追加解析などを行いながら研究を進めています。 使用しているデータは、いずれもNEJMに掲載されている研究で、かなり緊張しながらではありますが、興味深く解析しています。◎職場の雰囲気Solomon教授、2番手の先生、統計家はいずれも世界的に有名な先生で、その先生方からface to faceで指導を受けられるのは、海外留学する大きなメリットで大変勉強になります。 また、週1回のリサーチカンファレンスでは、プレゼンテーションの途中で活発な議論が交わされます。 若手フェローも積極的に意見を述べ、時に上級医に反論している点は、日本も見習うべき環境だと感じています。現在、ラボには10人弱のリサーチフェローが所属しています。 イタリア、スイス、スペイン、オーストラリア、ブラジル、トルコ、ジンバブエ、イランなどから集っており、各国の同僚との交流は留学における楽しみの一つです。またBrigham and Womenʼs Hospitalは、循環器領域を世界的に牽引している多数の先生が所属しています。 それらの先生方が参加する全体カンファレンスで、生の講演や議論を聞く事が出来るのは、海外の一流施設ならではで、毎週楽しく拝聴しています。◎日常生活生活に関しては、ボストンは趣深い、とっても良い街です。 私が住んでいるブルックラインという街は、家賃が月4000ドル(執筆時点のレートで約60万円!)と高額ですが、非常に治安が良く、今の所危ない思いは全くしていません。 日本人研究者も多く、先月は偶然大学の同級生に会ったり、同門の先輩方とも飲み会でご一緒出来たりしました。◎家族子供達は、近くに公園がたくさんあり、また保育園がとても教育的で、アメリカライフを楽しんでいるようです。 下の子はイヤイヤ期ですが、「No!」といって着替えを拒否してきます。 上の子は既にアルファベットをマスターし、驚異的な学習能力に圧倒されています。 妻も基礎研究者で、幸運にも同じ施設にポスドクとして留学する事が出来たのですが、研究室の雰囲気が良いようで、相当満足しています。 留学は、家族にとっても貴重な時間になっています。◎最後に海外留学には、上記のように楽しい事、勉強になる事がたくさんありますが、一方で大変な事もたくさんあります。 一つ一つの物事を進めるのに想定以上に時間がかかったり、英語の議論に全くついていけずに悔しい思いをする事もあります。 ただし、これらも留学したからこそ出来るかけがえのない経験で、成長の糧と思って取り組んでいる所です。 そして、留学を通じて最終的には医療や社会に貢献できればと考えています。最後に、留学に際して多大なご支援を頂いている上原記念生命科学財団の皆様に心より感謝申し上げます。Brigham and Womenʼs HospitalHarvard Medical School濱 谷 康 弘京都医療センター循環器内科臨床研究での海外留学アメリカ東海岸 Massachusetts数の大規模臨床研究を主任施設として実施し、かつ画像診断 58
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