染んでおり、私と同じくMD/PhDである妻も幸いBrigham and 2024年4月よりBroad InstituteにてPostdoctoral Associatesとして勤務しております、円山信之と申します。この度は1年間ご支援頂きました上原記念生命科学財団の皆さまにお礼を述べさせていただくと共に、自身の経験を共有することで、これから留学を検討している皆さまの参考になるかと思い、寄稿させていただきました。勤務先であるBroad Instituteは2004年に設立された比較的新といった一流誌に研究を載せている一流の生物医学/ゲノム研究センターです。 PIであるPatrick T Ellinor先生は大学院時代にカルシウムチャネルのクローニングを行い、Natureに2本の論文を掲載している非常に優れたWet labの研究者です。 それにも関わらず現在ではAFGenと呼ばれる、世界最大の心房細動ゲノム研究コンソーシアムを牽引しゲノムワイド関連解析・レアバリアント解析も幅広く行っており、深層学習やシングルセルシークエンス解析など研究の幅も徐々に広がっており、Wet lab・Dry labのバランスの取れた研究グループとなっております。またEllinor先生は循環器内科医でもあり、臨床研究も多数行われています。 研究員9名、ポスドク12名、協力研究員 5名、リサーチアソシエイト8名、大学院生 2名と大所帯なラボで、それぞれWetの研究をする人、Dryの研究をする人に分かれお互いに協力しているだけでなく、両方に興味がある人はWetとDry両方行うことの出来る非常に恵まれた環境にあります。私自身は医学部卒業後8年目の時点から研究を開始し、大学院時代には心不全における無菌性炎症に着目した生化学実験と、大規模心不全レジストリを用いた臨床研究を行っておりました。 しかし、ヒトのサンプルを用いた病態解明に興味を持ち、大学院卒業後に、理化学研究所にて心不全ゲノムワイド関連解析を実施し、これらの知見を更に深めるために、Wet・Dry両方が可能であるEllinor先生のラボに応募させていただきました。留学生活は留学前に期待していた通りであり、各国から集まったポスドクが仲良く研究を進めており、非常に楽しく研究生活を送ることが出来ています。 またどの分野においてもエキスパートが在籍しており、更にはラボ間での垣根も非常に低いことからお互いに協力しあうことで、効率良く研究を進めることが可能です。 妻と子供二人(留学当時は5歳・2歳)を連れて留学しましたが、子供たち二人は何の心配も要らないくらいに学校・保育園に馴Womenʼs Hospitalで研究を行う機会を頂き、研究が出来ております。 留学前は色々な不安があるかと思いますが、職場の上司・同僚や家族の理解が得られるのであれば、思い切って挑戦することは良い人生の切り開き方だと私自身は感じました。最後になりますが、留学開始から1年間ご支援頂きました上原記念生命科学財団の皆さまに深く感謝致します。 また留学に際し多くの先生方に様々な形で手助け頂きましたことも重ねて御礼申し上げます。ご推薦くださった理化学研究所生命医科学研究センターの伊藤薫先生、留学に向けて背中を押してくださった国際医療福祉大学の筒井裕之先生、九州大学の阿部弘太郎先生に心よりの感謝を申し上げます。The Broad Institute of MIT and Harvard円 山 信 之理化学研究所生命医科学研究センター循環器ゲノミクス・インフォマティクス研究チーム九州大学循環器内科学ボストンでの研究生活アメリカ東海岸 Massachusettsしい研究所ではありますが、毎年のようにNature・Cell・Science 60
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