私は現在、米国マサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital: MGH)Cancer Center内のAaron Hata氏の研究室(Hata Lab)にて、Postdoctoral fellowとして研究活動を行っています。 外科医としてがん診療に携わる中で、がん薬物療法の可能性や耐性メカニズムに強く関心を持ち、より深くこれらに従事したいと考え、本研究留学を志しました。Hata Labでは、肺がんにおける薬剤耐性メカニズムや新規治療標的に関する研究が行われており、私もその一端を担っていまニシャン8名で構成されており、活発な議論と協働のもとで日々研究が進められています。MGHは、世界で初めて肺がんに対する分子標的薬(EGFR阻害薬)を臨床応用した施設の一つであり、長いがん診療の歴史の中で培われた技術や知識、多様な細胞株など、貴重な研究資源が豊富です。 これらは、がん薬物療法に取り組む研究者にとって非常に恵まれた環境を提供しています。Hata氏はMD-PhDであり、私も同様の背景を活かし、基礎研究だけでなく、MGHや近隣施設と連携したトランスレーショナルリサーチにも関与しています。 MGHのCancer Boardにも定期的に参加しており、実際の診療議論に触れながら臨床との距離を保った研究を行えています。 まで統合的に捉える視野を得られたことは、本留学の大きな成Massachusetts General Hospital Cancer Center坂 井 貴 志同僚の多くはPhDですが、治療方針や研究の視点で臨床的な立場が求められることもあり、互いの専門性を尊重し合う環境の中で多くを学んでいます。また、週1回のラボミーティングや他研究室との合同ミーティングで、自身の研究について議論しフィードバックを受ける機会があり、研究の質を高めるうえで大きな支えとなっています。 このような国際的で刺激的な環境に身を置きながら、外科医としての視点に加え、がんという疾患を基礎から薬剤開発、臨床応用果の一つです。現在はボストン近郊のBrooklineに居住しており、自然が豊かで治安も良く、快適な生活環境に恵まれています。 ただし、ボストンは物価が高く、また本研究室では雇用時に外部助成金の取得が条件とされていたため、生活・研究費の確保には負担も伴いました。 そうした中、上原記念生命科学財団からのご支援により、安定して研究に専念できておりますことに心より感謝申し上げます。最後に、本留学に際しご尽力くださった東邦大学、そしてこのような機会を提供してくださった上原記念生命科学財団の皆様に、改めて深く御礼申し上げます。今後もがん研究と臨床の両面から社会に貢献できるよう、一層努力してまいります。ボストンでの研究と生活を通じて アメリカ東海岸 Massachusettsす。 ラボは現在、Postdoctoral fellowが8名、大学院生2名、テク61 ←春のMGH cancer centerの外観東邦大学医学部外科学講座呼吸器外科学分野(大森)
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