私は、2024年4月から1年間、米国ジョージア州アトランタにあるジョージア工科大学(Georgia Institute of Technology: GT)に研究留学させていただきました。 私の受入れ先は、経皮薬物送達システムであるマイクロニードル(MN)を世界で初めて開発した研究者Mark R. Prausnitz教授です。 ラボは約30年の歴史を誇り、所属するほぼ全ての学生とポスドクが日々MNの研究に取り組んでいます。 学会や論文で見たPrausnitzラボのMNを、はじめて自分の手で作製したときの感動は忘れられない体験です。 私の滞在中には、世界各国(イギリス、イラン、インド、エジプト、韓国、台湾、トルコ、ナイジェリア、バングラディッシュ、ロシア等)から集まった20名程度が在籍しており、研究活動に加えて、異文化交流という意味でも非常に充実した留学生活を送ることができました。 アトランタの生活環境や、研究室内での気付きは、製剤機械技術学会誌2025年6月号に寄稿していますので、ご興味があればお読みいただければ幸いです。 ここでは、留学中における出会いについて、気付いたことや感想を書かせていただきます。私は、トルコ人との出会いに恵まれました。 渡米前にラボの同僚から、彼女の友人Denizが住むアパートを紹介されました。 Denizはトルコ出身のポスドクで、GTの物理学科で3年間働いていました。 D e n i zは車を持っていたため、私とD e n i zの同 僚Bahadir(彼もトルコ人です)は毎朝、車に乗せてもらい、一緒に通勤していました。 当然、車の中の言語は、英語(ときどきトルコ語)です。 渡米したばかりの私にとっては、英会話の良い練習になりました。 留学当初は、周りに相談できる日本人の知り合いはいませんでしたが、DenizとBahadirに生活のセットアップ(例えば、銀行口座の開設、SSN取得など)、大学周辺の環境や治安などについて、相談することができ、とても助かりました。 Denizとは、家族ぐるみの付き合いになり、彼の子供の誕生日パーティーに参加させてもらったり(私たち以外はトルコ人でした)、お互いの国の食べ物を持ち寄ってランチを食べたり(お□の使い方を教えてあげたのは良い思い出です)、妻同士がお茶をしたりと、非常に良い関係を気付くことができました。 また、Denizたちは、物理学科で歩行ロボットに関する研究を行っており、薬学部出身の私にとって、全く分野の異なる彼らの実験室を見学させてもらったことは、非常に貴重な経験でした。また、Denizの勧めもあって、英語学習のために、Buckhead図書館の無料のEnglish as a Second Language(ESL)クラスに通いました。 このクラスでは、自分たちの国について、持ち回りで、30分程度の英語のプレゼンをすることになっており、私は日本の富山県を紹介しました。 これも良い英語の勉強になりました。学外の知り合いを増やす良い機会にもなり、中国、ブラジル、ウクライナ、エルサルバトル、コロンビアなど、様々な国の人と知り合うことができました。 さらに、ESLクラスがきっかけとなり、日系企業の駐在員として来られている日本人夫婦と出会い、美味しい日本食が手に入る場所を教えていただいたり、本当に色んな面で目をかけていただきました。Georgia Institute of Technology安 藤 大 介国立医薬品食品衛生研究所・薬品部ジョージア工科大学留学 アメリカ東海岸 Georgia state69 ←ラボの集合写真 前列右から4人目がMark R. Prausnitz教授、 筆者は2列目右から4人目次ページにつづく→
元のページ ../index.html#71