その中でNidhi助教は良い結果や賛美する意見ではなく、失敗や批判から次の研究にどう繋げていくか考える論理的思考をすることがいかに大切であるかを常に私に教えて下さいました。◎留学期間の延長留学から3か月が過ぎる頃に研究が軌道に乗って結果がまとまり始めたのでこのままもう少し研究を続けたいという思いが日増しに強くなり、Teitelbaum教授に相談したところ「君は今や我々のラボにはなくてはならないintegrated memberになっている、可能ならば続けて欲しい」と留学延長を快諾して下さり日本の教授宛てに依頼してくれました。 その甲斐あって教授退官までの2か月間ではありますが留学延長が実現しました。◎多くの研究者との出会いラボのメンバーや同じフロアの研究者達は優しく親切な方で研究や実験手技などを丁寧に教えてくれました。 さらに私の生活や進路面でも親身に相談に乗って下さり国を超えた素晴らしい人間関係に恵まれたことはとても幸運でした。 また現地の日本人の方々と素晴らしい交流が出来ました。大変優秀な研究者の方ばかりで分野や年齢は様々ですが深い繋がりを持てたことは私の人生観を変える貴重な経験となりました。◎最後に日本と違った苦労も沢山ありましたが留学先で学べた研究や経験は、非常に価値のあるものとなりました。 Nidhi助教から学ばせていただいたことを生かし、帰国後も研究への道を少しでも歩んでいくことができればと願っております。 このような貴重な機会と多大なるご支援を頂きました上原記念生命科学財団の皆様並びに関係者の方々、またご多忙のところ送り出してくださいました上岡寛教授、井澤俊准教授に改めて心より深く御礼申し上げます。 ◎留学までの経緯私は2024年11月より米国ミズーリ州ワシントン大学に留学しております。 破骨細胞を用いた変形性顎関節炎の研究で学位取得後からは、臨床に忙しく追われていた矢先に上岡寛教授と研究上司の井澤俊准教授からの勧めで留学に応募致しました。 矯正歯科認定医取得後の出発となり、やむなく4か月間の留学になりました。 留学先は上司が研究留学されていたSteven Teitelbaum教授のラボに決まりました。◎海外での生活環境“セントルイス・ 治安”と検索すると全米ワースト2位の記事ばかりで、いざ留学が決まると採択された嬉しさとは別に海外生活への不安に苛まれておりましたが、大学周囲は綺麗に整備され、治安の悪い地域に行かなければ自然が多く過ごしやすい街だとわかり安□しました。 生活面では大学寮を利用することでスムーズに留学生活をスタートでき、食費面ではやはり外食は高いので殆ど自炊を心がけました。◎充実した研究留学米国到着の翌朝からラボミーティングに参加し、同じ変形性関節炎をテーマにしたNidhi Rohatgi助教の下で研究することになりました。 この短期留学で、しかも英語も不自由な私を受け入れてくれるのだろうかという心配と緊張感をよそに、今も第一線で活躍し続けておられる87歳のTeitelbaum教授から「Yuri!君は自分の孫のようだ、よくこの研究室に来てくれた、ありがとう!」と握手しながら温かく迎えて下さったことに今でもとても感謝しています。 毎週のラボミーティングでは得られた実験結果を発表し、研究方針について皆で検討する日々で、日本に居た時とは異なり研究に集中できる環境は忙しいながらも非常に新鮮で充実していました。Washington University in St. LouisSchool of Medicine Pathology & amp; Immunology吉 川 友 理岡山大学病院矯正歯科セントルイス・ワシントン大学に留学してアメリカ中央部 Missouri 75 ←Teitelbaum lab メンバーと
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