2023年9月よりテキサス州ガルベストンのUniversity of Texas Medical Branch(UTMB)へ留学し、1年半が経過いたしました。ガルベストンは、ヒューストンより南に車で1時間程にあるメキシコ湾に浮かぶ島で、夏は海水浴に訪れる観光客で□れます。昨年7月には、ハリケーンの影響で4日間ほど停電し、寝苦しい夜を過ごしたり家中にカビが生えたりとアメリカらしい体験もしましたが、充実した日々を過ごしております。私は、同じくUTMBでポスドクを勤める夫、3歳・0歳の2人の子供との4人家族です。 夫は2022年から渡米し、当時北海道の酪農学園大学で助教を勤めていた私とは、1年半ほど日米での別居生活をしておりました。 しかし、家族で同居しながら研究者としても成 長できる方 法として、日本 の 職を辞しU T M B の D r. Makishimaラボのポスドクとしての道を選びました。 常任ポジションを退職して渡米することは難しい決断でした。 しかし、夫婦で子育てしながら研究に打ち込めるという点で、アメリカのポスドクというポジションは大変良い環境だと今は感じています。現在、子供二人は現地の保育園に8時〜16時半ごろまで預けており、急病でのお迎えやお休みの際は夫と交代しながらフレキシブルに仕事の調整をしています。 こちらは子供関連での仕事の調整に対し寛大で、(誤解を恐れず書きますが)罪悪感なく実験・ミーティングの予定を変更することができます。 休日はプールや海水浴、博物館や美術館で遊びながら家族の時間を過ごし、メリハリのある生活を楽しんでいます。研究面では、留学を機に、専門である獣医解剖・組織学を活かしながらも研究対象を大きく変えました。日本では生殖機能障害の病態解析がメインテーマでしたが、医学・感染症学分野の知識や技術、トランスレーショナル研究の実際を学ぶべく、現在はラッサ熱の後遺症である難聴・めまいがどのようなメカニズムで発症するかをテーマに、ラッサウイルス感染モデルマウスの内耳病理を解析しています。も視野に入れてみてはと思います。新たな分野の知識や最先端のイメージング技術の習得ができることはもちろん、臨床医・ウイルス学研究者・基礎研究者が国境をこえ一丸となって感染症の克服に挑む力強さやスピード感を体感できることは、獣医学研究者として貴重な経験だと感じています。 生活環境への適応、実験環境の整備・プロトコルの条件検討などに1年弱かかり、現在やっと研究が軌道に乗ってきたように感じます。 留学をご検討されている方は、是非とも長期での留学末筆ではございますが、本留学におきまして多大なるご支援を賜りました上原記念生命科学財団の皆様に深く感謝申し上げます。 もうしばらくアメリカで研究者修行を積みますが、帰国の際には、賜ったご支援を日本の学術界の発展へと還元したいと強く感じております。 また、子供を連れての留学にご不安を抱えている方は、ご相談に乗れることがありましたら私までご連絡をください。 ありがとうございました。The University of Texas Medical Branch齋藤(細谷)実里奈酪農学園大学獣医学類獣医解剖学ユニットガルベストン留学記アメリカ中央部 Texas 76
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