一年のあゆみ_2024年度
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核へ変化させる現象は、免疫反応を起こすために円滑に骨髄か上原記念生命科学財団のご支援をいただいて、2023年11月からカリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)に留学させていただいております。UCSDはサンディエゴのラホヤと呼ばれるエリアに位置しています。 ラホヤはスペイン語で“宝石”を意味しており、その名に違わず美しい海岸線とビーチが続くエリアです。 サンディエゴは治安が比較的良く、温厚で親切な方が多い印象です。 ラホヤエリアは世界中から学生や研究者が集まっているためか、多様性に5歳と3歳の娘達はそれぞれ現地のエレメンタリースクールとプリスクールに通っていますが、多様な背景の子どもたちや家族が集っており、ディズニーの“Itʼs a Small World”で歌われる“世界はただ一つ”ということを実際に体感しています。 このような国際的な環境を肌で学ぶことが出来ること、また私たち家族のことを皆さんが優しく迎えてくれたことに心から感謝しています。また、サンディエゴは自然が豊かなので、家族でビーチや湖に出かけたり、水族館や博物館巡りをしたりと、休日は楽しい日々を送っています。UCSDは研究に非常に力を入れており、アメリカ国内でトップクラスの研究費支出を誇り、世界大学学術ランキングなどでも上位にランキングされています。 私は分子生物学分野のCornelis Murre先生の下で研究を行っています。分子生物学分野では研究機器や手法をお互いの研究室で共有しながら、また主任研究員同士も日々連絡を取り合いながら、研究を進めていることが大変印象的です。 研究者や研究室同士の垣根が低いことは素晴らしい環境だと感じています。 Murre先生からは、免疫細胞の系統特異的な核形態の解明というテーマをいただいて研究を行っています。 血球における単核と多核の核形態は1880年代に初めて報告されましたが、長年その変化や制御については解明されていませんでした。 顆粒球 (好中球、好酸球、好塩基球など)が分化に伴い核形態を単核から多ら末梢血や組織へ動員され、遊走する際に重要な機構です。 T細胞も活性化して核形態を変化させることが知られています。 本研究ではクロマチンや転写因子の制御による免疫細胞の核形態の動態やそれに伴う分化の機構を解明することを目的としています。 多面的な基礎的実験からプロジェクトの方向性が定まってきた段階で、これから本格的な仮説の証明に取り組む方針です。 優しく指導してくださるMurre先生の下で新しい研究手法や考え方を学べる楽しさや嬉しさを感じながら研究に取り組んでいます。最後になりますが、このような大変貴重な機会を与えてくださった上原記念生命科学財団の皆様、そして留学に際して背中を押してくださった東京科学大学発生発達病態学分野の皆様に心より感謝申し上げます。 この留学経験を科学の発展に結びつけられるよう努めて参りたいと思います。カリフォルニア大学サンディエゴ校西 村 聡東京科学大学発生発達病態学分野UCSD留学記サンディエゴの豊かな自然の中でアメリカ西海岸 Californiaも非常に寛容な印象を受けます。 79 ←La Jolla Shores の夕焼け

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