一年のあゆみ_2024年度
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2 0 2 4 年 4月から2 0 2 5 年 3月までの1 年 間 、カナダ、B r i t i s h C o l u m b i a 州 Va n c o u v e r にある、U n i v e r s i t y o f B r i t i s h Columbia(UBC)のGenetic Pathology and Evaluation Center(GPEC)のTorsten LaboにPostdoctoral research fellowとして留学しています。ボスは肉腫において世界的に有名な方で、特に滑膜肉腫において多くの研究成果を持つ方です。 教授より、□滑膜巨細胞腫(TGCT)の研究をしないかと声をかけていただき留学後は主にジェクトで、その一部について研究の立案とグラント獲得の補助、そして実験を任されていました。 留学当初より、英語が思うように聞き取れず苦労しています。 研究の初期段階ではディスカッションを重ねる必要があり、必然的に英語nativeの人同士で話す部分のリスニングが必要になりますが、これが相当難しく、日本にいるときに英会話に通って準備したつもりでしたが、不十分であったことを痛感しました。また、リスニングも大切ですがリーディングや単語の勉強をやっておく必要があったと思います。 「英語の国カナダの、その空気を吸うだけで僕は英語が話せるようになると思っていたのかなあ・・」というどこかで聞いたような言葉が私の頭をよぎる日々でした。 そんな状況にも変化が訪れ、日系カナダ人の学生さんが研究グループに参加したことにより状況は劇的に改善しました(英語の勉強は続けています)。 そうしているうちに秋にはグラントの提出というビッグイベントがありました。 ここは日本と違うところだなと感じましたが、カナダは日本と比較して小型のグラントが少なく、大型のグラントが多いように思いました。 そして大型のグラントでは、複数の研究者が協力して申請することが一般的であるようです。 我々もグラント獲得を目指してボスを含めたグループで研究を計画します。 多くのメールをやり取りし、大量の論文を読み計画を練りました。 この時にグループの人と本当の意味で打ち解けたなと感また、この期間中家族が病気で入院するということがあり、連れ添って病院に泊まることもあり、厳しい時期でした。 グラント提出がなんとか終わり、現在はTGCTの研究を継続しながら、自分が筆頭著者となれるような他の研究をすることをボスと話し合っています。日々の生活に関しては、バンクーバーは美しい街で、かなり暮らしやすいと思います。 四季の変化ははっきりしていて、春、夏、秋、冬とまったく違う顔を見せてくれます。私が住んでいるのはWesbrookというブリティッシュコロンビア大学UBCの学園都市で、のどかで景観も治安もよく気に入っています。 レジャーも多く土日はとても充実した時間を過ごしています。 また、UBCのスタッフの子どもが多く通うNorma Rose Point Schoolは英語が母国語ではない生徒も多いためその扱いに慣れており、心強いです。 日本人コミュニティもあり、異国での生活を心配していた妻もVancouverを楽しめているようです。末筆ながら、留学の機会を頂きました九州大学医学部整形外科学教室の中島康晴教授とサポートくださった先輩方、そして多大なご支援をいただきました上原記念生命科学財団に心よりの深謝申し上げまして、寄稿を終えたいと思います。University of British ColumbiaGenetic Pathology and Evaluation Center(GPEC)Torsten Labo石 原 新九州大学整形外科学教室Vancouverでの研究生活カナダ British ColumbiaTGCTについて研究しておりました。 TGCTの研究は大きなプロじます。 81

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