一年のあゆみ_2024年度
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2 0 2 3 年 1 0月から、カナダ・トロントの U n i v e r s i t y H e a l t h NetworkのFehlings LabでResearch Fellowとして勤務を開始し、本稿執筆時点で早くも1年半が経過しました。生まれてから北海道外に居住した経験がなかった私にとって、海外留学には漠然とした憧れがありながらも、不安の方が圧倒的に大きかったことを覚えています。 渡航後は、英語でのコミュニケーションや、研究・仕事に対する姿勢の違いに戸惑うことも多々ありましたが、そのような環境にもすっかり慣れて、妻と子(但し、英語は全く上達しておりません)カナダと言えば寒いイメージがあると思いますが、トロントに関して言えば北海道とほぼ同緯度であり、冬の寒さに苦しむことはあまりありませんでした。 春〜秋にかけてはとても過ごしやすく、居住地から徒歩10分くらいでたどり着けるオンタリオ湖沿いの散歩はとても気持ちが良いです。また、トロントは人種の多様性も特徴の一つで、そのような背景もあってか、基本的に皆優しく、差別的な対応を受けることはほとんどありません。 人種の多様性ゆえの食文化の多様性も面白く、今まで日本で馴染みがなかった料理を食べる機会も多くあり、色々な国を旅しているような気分が味わえます。関する学びはもちろん多くありますが、研究費の獲得に対する経済面では、北米はどこもそうでしょうが、家賃は非常に高く、食費も日本の1.5〜2倍くらいかかる印象です。 その一方で、トロント(オンタリオ州)では処方薬を除く医療費は無料であり、また子供たちの学費(日本人の補習校を除く)も無料で、米国よりは経済的に住みやすいのではないかと思っています。研究に関しては、Fehlings Labでは脊髄疾患、特に脊髄損傷と頚椎症性脊髄症を扱っており、私は大学院生時代の研究を活かす形で脊髄損傷の研究に従事しています。 研究そのものに姿勢やtipsなど研究そのもの以外でも学ぶことが多くあり、いずれも帰国後の自分の糧になると思います。 また、一度日本を離れることで、日本の研究者に足りないことと、日本の研究者の良いところの両方を感じることができ、今後は前者を埋めつつ後者を活かしていきたいと思っております。最後に、このような貴重な海外留学の機会を与えてくださった北海道大学脳神経外科の藤村幹教授、医局および関連病院の多くの先生方、海外生活を支えてくれている家族に、この場をお借りしてお礼申し上げます。 また、海外留学へのご支援をいただいた上原記念生命科学財団の関係者の皆様に心より感謝申し上げます。University Health NetworkUniversity of Toronto高宮 宗一朗北海道大学大学院医学研究院脳神経外科トロント留学記カナダ Ontario供たちと共にトロントでの生活を楽しむことができています。 82←オンタリオ湖とトロントの街並み

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