一年のあゆみ_2024年度
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ようになりました。 3年目が最後だとわかっていたので、やり残私は2022年4月からイギリスケンブリッジ大学MRCミトコンドリア生物学研究所に留学しています。 最初の2年間は日本学術振興会の海外学振による支援をいただき、もう一年延長したいと思っていたところ、2024年度は上原記念生命科学財団様からのご支援いただけることになりました。 本寄稿では、私の研究留学における3年目での体験・感想を記載してみようかと思います。(昨年には日本農芸化学会誌に留学だよりを寄稿しているのでそちらもご参照いただければ幸いです。)私の所属するラボはポスドクが何十人もいるような大きなラボではありません。 一方で、3-6か月ほどの短期留学で来る人やインターンシップで来る学生はとても多く、3か月ごとに1-2人程度新規の人が入っては出ていくという感じです。 よって、3年目になるとラボの中でも比較的ベテランになるため、短期留学の学生を指導する機会を受け持つことがありました。 これまでに5人ほどの学生を短期で指導する機会をいただきましたが、国籍も多様で、研究(仕事)というものに対する考え方、姿勢も人によってとても異なります。 ある人はワークライフバランスが大事なので定時にはしっかりと帰宅し、ある人は短期の訪問であっても成果を出してやろうとハードワークに勤しむ人もいます。 異なる国籍の人やバックグラウンドの異なる人と関わることは日本では中々経験のできないことであり、それを指導する立場から経験できたのは、私の考え方に大きな影響を与えただけではなく私自身がステレオタイプであったことを自覚し、フレキシブルに考え対応することの大切さを学びました。3年目における大きな違いの一つとして、1,2年目と比較して私自身の社交性が格段と上がったなと感じたことが挙げられます。 1年目は生活スタイルの違い、語学の壁、研究に慣れるまでで精いっぱいで自分から交流を広げようと動くことはありませんでした。 2年目は、ラボ内での交流は増えたものの、それ以上のネットワークを広げるような行動はできず、自分の実験に集中しようというスタンスで過ごしていました。 3年目からは自分から研究所内の別のラボにも研究の相談に行ったり、共同研究先を訪問したりと、より積極的に交流を増やすような行動を起こせるすことがないようにという気持ちが後押ししたこともありますが、やはり3年目の心の余裕は2年目までとは大きく異なっていたのだろうと思います。私の留学において1、2、3年目とそれぞれの期間で得られたものは大きく違いました。 振り返ると私にとって3年間はリーズナブルな時間だったのかなと思う一方で、もっと長く滞在すればさらに新しい発見があるかもと思う気持ちもありました。 留学の期間は人それぞれでありコントロールすることも難しいと思いますが、私にとっての3年間の研究留学は技術を学ぶこと以上に、一人の人間として成長できた良い機会であったと感じています。最後になりますが、この度支援いただきました上原記念生命科学財団の皆様および関係者の皆様に深く感謝申し上げます。 University of CambridgeMRC Mitochondrial Biology Unit宇 野 晋 平京都大学大学院農学研究科応用生命科学専攻3年目のイギリス生活←Farewell Partyヨーロッパ UK Cambridge 85

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