一年のあゆみ_2024年度
89/100

ゼーという場所でリトリートに参加しました。 そこでは、瓶ビードイツ・ゲッティンゲンにあるマックスプランク研究所でポスドク研究員として研究に取り組みはじめてもうすぐ1年になります。私が所属するProf. Stefan Hell研究グループは複数の研究チームで構成されており、私は現在、超解像蛍光イメージング用の新規色素を合成するDr. Vladimir Belov のチームと、細胞内の 標 的 D N A やタン パク質 の 蛍 光 標 識 技 術 を 開 発 するD r . Gražvydas Lukinavičiusのチームのもとで研究を行っています。 2つのチームを掛け持ちしているため、それぞれのメンバー境にあります。 また、外部から研究者を招く機会も多く、そのたびに活発な議論が交わされるのも、マックスプランク研究所ならではの特徴だと感じています。私が所属する研究チームは非常に国際色豊かで、ドイツをはじめ、リトアニア、ロシア、フランス、ハンガリー、ベトナム、インドなど、さまざまな国の研究者が集まっています。 グループ内で日本人は私一人ですが、ゲッティンゲンにはアジアマーケットや日本食レストランが多くあるせいか、ラボメンバーが日本のことにとても詳しいのが驚きでした。 特に、ドイツで最も有名なアジアマーケットの一つである「Go Asia」がゲッティンゲンにも出店しており、米や日本製の食品が手に入るため、日本食が恋しくなることはほとんどありません。 また、ゲッティンゲン新市庁舎がある広場は「ヒロシマ広場」と呼ばれ、平和を祈るモニュメントが数多く設置されています。その中には、東日本大震災の際に起きた原発事故を記念するモニュメントもあり、初めて見たときは強く印象に残りました。 さらに、春になるとゲッティンゲン大学では美しい桜並木が広がります。 一見、日本とは縁がなさそうに思えるこの街でも、至るところで日本を感じる瞬間があります。ドイツで研究を始めて、ラボのメンバーと初めて打ち解けたと感じたのは「飲み」の場でした。 ドイツに来て1ヵ月が経った頃、ハイデルベルクの研究グループと合同で、南ドイツのテガーンルを片手に多くのメンバーと交流を深めることができました。 時代に逆行する話かもしれませんが、このほかにも「飲みニケーション」を通じてラボメンバーと親睦を深める機会が多々ありました。 夏は日差しを浴びながらテラスでビールを楽しみ、冬はクリスマスマーケットで温かいグリューワインを片手に、小さなテーブルを囲んで語らう。 日本とはまた違う形の「飲みニケーション」がドイツには根付いているのだと感じました。もうすぐドイツに来て1年。春の訪れを感じる3月下旬、ゲッティンゲンでも桜が咲き始めるころです。 せっかくなので、日本の「飲みニケーション」文化にならって、お花見にラボメンバーを誘ってみようかなと思う今日この頃です。最後になりましたが、ご支援をいただきました上原記念生命科学財団の皆様に心より感謝申し上げます。Max Planck Institute forMultidisciplinary Sciences鳥 井 健 司大阪大学大学院工学研究科応用化学専攻桜咲くゲッティンゲンで振り返る1年ヨーロッパ Germany と研究に関する議論ができ、さまざまなアイデアを共有できる環87 ←ゲッティンゲン大学の桜並木

元のページ  ../index.html#89

このブックを見る