一年のあゆみ2023
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西ニシ川カワ 博ヒロ嘉ヨシ 博士(医学) 国立がん研究センター研究所 腫瘍免疫研究分野 分野長同 左7略  歴1995年3月  三重大学 医学部 医学科 卒業1995年4月  三重大学 医学部附属病院 研修医1995年10月  松阪中央総合病院 研修医1997年4月  鈴鹿中央総合病院 内科医員1998年4月  三重大学 大学院医学研究科 入学2002年3月  三重大学 大学院医学研究科 修了2002年4月  三重大学 医学部附属病院 内科医員2003年4月  Memorial Sloan Kettering Cancer Center リサーチフェロー2006年4月  三重大学 大学院医学系研究科 病態解明医学講座 講師2010年4月  大阪大学 免疫学フロンティア研究センター 実験免疫学 特任准教授2012年4月  Roswell Park Cancer Institute, Adjunct Associate Professor(兼)2015年4月  国立がん研究センター研究所 腫瘍免疫研究分野 分野長/先端医療開発センター 免疫トランスレーションリサーチ分野 分野長2016年4月  名古屋大学 大学院医学系研究科 教授(クロスアポイントメント)褒賞対象となった研究業績「がん遺伝子異常がもたらす免疫抑制機序の解明と治療への応用」がん免疫は、PD-1阻害剤などの成功により一挙にがん研究・がん医療の中心に躍り出たが、臨床的な有効性は未だ限定的で、がんと免疫が対峙するがん組織の微小環境での詳細な分子間相互作用の解明が喫緊の課題であった。生検組織の様な微量の検体から生きたまま免疫細胞を採取し、詳細な免疫解析を可能にする技術を独自に開発し、網羅的免疫応答解析およびゲノム解析を融合した新たな「免疫ゲノム研究」を創出した。これにより、がん免疫の分子基盤を次々と解明し続け、がん細胞が持つゲノム異常が免疫細胞の機能制御に直接かかわるという「Immuno-genomic cancer evolution:免疫ゲノムがん進化説」という新たな仮説を提唱し、世界のがん免疫学を牽引し続けている。PD-1阻害剤治療での患者層別化バイオマーカーの発見と解析技術開発による臨床への応用、腫瘍浸潤CD8+T細胞および制御性T細胞におけるPD-1の発現機序および機能の解明、がん細胞のゲノム変異による免疫制御環境構築の発見は特筆すべき研究成果である。基礎研究としての発展はもとより、臨床診断機器の開発やがん免疫ゲノムプレシジョン治療への展開といった臨床応用への発展が期待される、世界をリードする革新的な研究業績である。

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