一年のあゆみ2023
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35これらの褒賞・助成は、すべて上原財団よりの13億円余にのぼる助成金により行われるもので、ご列席の上原明理事長、上原茂評議員会議長、上原健常務理事をはじめとする財団関係各位、また支援していただいております大正製薬のご尽力に心からの敬意と感謝を申し上げる次第です。さて、本年度の選考経過を申し上げます。上原記念生命科学財団の褒賞・助成事業は、研究業績褒賞事業として上原賞が、助成事業として特定研究助成金、研究助成金、研究推進特別奨励金、研究奨励金、海外留学助成金、若手海外留学支援金、来日研究生助成金、国際シンポジウム開催助成金があります。上原賞を除く助成事業は、A領域からD領域までの各研究領域で公募され、申請書類を基にした予備審査を受け、その評点をもとに、選考委員会で議論され決定されます。また、上原賞は2度にわたる選考委員会の第1回で候補者を少数名に絞り、第2回の選考委員会で最終候補2名を選ぶことになります。2023年度の選考は、昨年11月7日の第1回、11月27日の第2回の選考委員会で行われ、その結果が12月13日の理事会で承認、決定されました。まず、上原賞の選考経過について報告します。本ただいま紹介いただきました選考委員会の議長を務めています西田です。まず最初に、本日、上原賞を受賞されます岩坪 威博士、西川 博嘉博士のお二方、並びに特定研究助成金、研究助成金、研究推進特別奨励金、研究奨励金および海外留学助成金、若手海外留学支援金を受けられます皆様に心からお祝い申し上げます。おめでとうございます。年度は、各学会代表者、上原記念生命科学財団役員・評議員・名誉理事・諮問委員並びに上原賞既受賞者の皆様から19名の候補者のご推薦をいただきました。いずれも大変優れた業績を挙げておられる方々です。選考委員会では2回にわたり厳正なる討論を行い、その結果、東京大学大学院医学系研究科 神経病理学分野教授 岩坪 威博士、国立がん研究センター研究所 腫瘍免疫研究分野分野長 西川 博嘉博士のお二方を上原賞候補として理事会に推薦、理事会でのご承認を得てご受賞の運びとなりました。先生方には、後ほどご講演いただけることになっておりますので、ここでは選考のポイントをご紹介させていただきます。岩坪博士の褒賞対象となりました研究のタイトルは、「アルツハイマー病・認知症性疾患の分子病態解明と治療薬の実用化」です。岩坪博士は、加齢性神経変性・認知症性疾患の病態を解明し、アルツハイマー病疾患修飾療法の標的と作用メカニズムを明示されました。アルツハイマー病では、老人斑の主要成分がアミロイドβ(Aβ)42ペプチドであることを証明し、家族性アルツハイマー病遺伝子プレセニリンの病因変異がAβ42の産生を高めることを発見されました。更に、プレセニリンを活性中心に有するγセクレターゼ複合体の形成機構と構造機能連関メカニズムを解明されています。これら成果の実用化に向け大規模臨床研究J-ADNIを組織し、治療薬の治験・実用化体制を築き上げ、抗アミロイドβ抗体薬レカネマブの治験を成功に導かれています。近年では、アクアポリン4分子が神経細胞内タウ蓄積の進展と細胞変性を防御する機能を有することを発見し、グリンパティッククリアランスを新規の神経変性予防治療の標的メカニズムと位置づけました。また、パーキンソン病ならびにレビー小体型認知症についてもα-synucleinを病因タンパク質とし選考経過等説明西田 栄介 選考委員会議長(理化学研究所生命機能科学研究センター長)

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