2022年4月より、米国ニューヨークにあるコロンビア大学のDr. Schwabe 研究室に留学しております。日本では消化器外科医として臨床現場に携わりながら、大学院の博士課程を修了後に渡米し、今年で3年目となります。これから留学を考えられている皆様に少しでも参考になればと考え、寄稿させて頂きます。留学先を探していた大学院在学中はまだCOVID-19により海外渡航が制限されていたこともあり、海外学会への参加や研究室への訪問は難しく、渡米までは主にメールやビデオ通話でのやり取りのみでした。そのため、どこか現実感がなく、「本当に留学は実現するのだろうか?」と不安になりながら日々を過ごしていたことが思い出されます。その分、無事に留学が決まり、人生で初めてニューヨークへ訪れた時は感動もひとしおでした。渡米後は幸運にも、生活制限が解除されているタイミングであり、研究活動も順調に開始することができました。研究室のあるIrving Cancer Research Centerはニューヨーク市マンハッタンの北部に位置し、近くにはメジャーリーグ・ニューヨークヤンキースの本拠地であるヤンキースタジアムなどがあります。私はマンハッタン内のアパートから、大学のシャトルバスを利用して通勤していますが、隣のニュージャージー州から通勤されている日本人研究者の方もたくさんいらっしゃいます。ご存知の通りニューヨークは全米一の大都市であり自由の女神、MoMA、メトロポリタン美術館、ブロードウェイのミュージカル、NBA、MLBなど挙げればキリがないほどエンターテイメントに溢れています。昨今の物価上昇もあり何をするにもお金がかかりますが、みなさん様々なライフハックを駆使してできる範囲で楽しんでいるようです。私が所属しているDr. Schwabe研究室は、ポスドク、大学院生、テクニシャンを合わせても10名弱程度の比較的小さい研究室です。メンバーはそれぞれに肝疾患や肝癌をテーマとした個別のプロジェクトがありますが、お互いの実験やデータ解析についても積極的に協力しあって、皆で研究を進めています。週に1度の全体ミーティングとPIとの個別ミーティングがあり、研究の進捗報告や論文抄読会を順番に行っています。その他にもアメリカ国内やヨーロッパの研究室との共同研究の機会が多く、度々ビデオ通話でのミーティングがあります。研究開始当初は上手くいかないこともたくさんありましたが、徐々に慣れてきて少しずつ結果が伴うようになってきました。最後になりますが、この度は留学の機会を支援して下さいました上原記念生命科学財団の関係者の皆様に深く感謝いたします。また、留学を実現するまでにお世話になりました大阪公立大学の消化器外科、肝胆膵外科および癌分子病態制御学の先生方、特に大平雅一先生、久保正二先生、そして八代正和先生にこの場をお借りして感謝を申し上げます。医師として、日本の医療と生命科学の発展、そして何より目の前の患者さんへ貢献できるように引き続き努力して参ります。70杉本 敦史Columbia University(大阪公立大学消化器外科)ラボから望むマンハッタンの夕暮れニューヨーク・コロンビア大学への留学
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