2021年8月に渡米しメリーランド州ボルチモアにある州立大学、メリーランド大学整形外科教室大鶴ラボにポスドクとして基礎研究留学しております。かれこれ3年近くの留学となり、これまでに出くわしたトラブルや解決法、小さな生活のノウハウなど、これから留学に来られる方々の少しでも参考になればと思い執筆させていただきました。まずは、私が留学しているボルチモア市についてご紹介いたします。ボルチモアはワシントンDCの北東にある人口稠密な都市です。DCまでは車で1時間、ニューヨークは車で3時間程度と行きやすく、ボルチモア市内であれば、Inner harbor周りに博物館や水族館があります。DCへの行きやすさも最高です。一時間弱車を飛ばしたら着きます。Smithsonian museum、Lincoln memorial、White houseなどハリウッド映画定番シーンに浸かることができます。いいところばかりではなく、ボルチモアは全米でも治安が悪いと悪名高い都市です。私が通勤しているボルチモア大学医学部はダウンタウンにあり、あまり周りの安全性が高いところではありません。最初の頃は怖くて日没前には必ず帰宅するようにしていましたが、最近はマンネリ化してしまい時間を気にせず出勤退勤しています。今のところは危ない目に合うことなく来ています。ただ、慣れない頃は安全を最優先して活動したほうがいいと思います。家族で渡米しているので、家は職場から車で30分ほど離れたClarksvilleにしました。Howard countyの公立学校システムでいい学校が多いところです。ここはアジア人が多く、環境と治安がよくおすすめです。ただほとんど周りに日本人はいません。日本人が多いのはNIH近くのBethesdaですが、DCに近いのでメリーランド大学やホプキンズ大学への留学なら通勤はかなり遠いです。渡米後のセットアップについて私の経験を共有します。私の場合、まずはホテルに1週間泊まりました。アパートは渡米前に仮押さえはしており、その1週間の間に契約を結びました。アメリカのアパートの多くは家電(冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機)がついていますが、家具(ベッド、ソファー、テーブルなど)は自分で買いそろえます。注意していただきたいのは、多くの家電ショップに行っても搬送の予約をして後日のお届けになるので、家のセットアップに時間的余裕がないと焦ります。私は仕事開始まで1週間しか余裕がなく、搬送の予約を待てず、自分でトラック(U-Haul)を借りてキングサイズのベッドとソファーなどを運び、2階のアパートまで一人で運びました。次は車です。車がないと通勤ができないので最初はレンタカーを2ヶ月間借りました。コロナ中で中古車の値段が爆上がりしてなかなか買えませんでした。渡米前に車の購入を決めたほうがいいと思いました。DCなら日本人がやっている中古車販売店があるみたいなので渡米前にOnlineで利用されてもいいかと思います。アドバイスとしては家・車のセットアップには時間的・金銭的余裕を持ってください。次にやるのはSSNの獲得と、運転免許の切り替えです。メリーランド州は日本の免許をそのまま現地のものに切り替えられますが、MVA(運転免許の発行・更新を行うところ)に行かれる前にOnline Alcohol and Drug Education Programを受ける必要があります(https://www.3hradep.com/default.php)。最後にJ1 Visaで来られる方々の税金(確定申告)について少し情報を追加します。最初の2年間はNon-resident alienという扱いになり、SpringTaxというOnline tax document作成サイトを利用します。操作と入力は簡単で聞かれる質問に答えて、最後に職場からもらうW2 form(源泉徴収みたいのもの)を添付して税金申告します。3年目からはResident alienとして一般市民と同じようにform 1041を出しますが、SpringTaxが使えなくなります。TurboTax(似たようなもの)で作成します。奥さんや子供は扶養に入れられるようになります。SSNを持っていればChild creditなどの恩恵がありますので、J2のご家族もSSNを取得することをお勧めします。最後になりましたが、物価の高騰、円安の中でアメリカ留学をしており、上原記念生命科学財団の助成金のサポートをいただき研究に専念することができました。誠に感謝を申し上げます。80小玉 城University of Maryland School of Medicine(大阪大学医学部整形外科)メリーランド大学留学
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