私は、2023年4月より米国、ミネソタ州にありますMayo Clinic, Department of Cardiovascular Medicineにおいて臨床研究を行っております。大学院に入学するまでは市中病院で臨床第一線での生活を送っておりましたが、大学院から心不全に関する臨床研究を開始し、研究の面白さにのめりこみ、研究もできる臨床医を目指したいと思うようになりました。先に留学されていた諸先輩方のお力添えもあり、心不全(特にHFpEF)を対象とした血行動態研究における世界的権威であるMayo ClinicのBorlaug先生のもとで研究留学をさせていただく運びとなりました。私が留学しているMayo Clinicはここ数年常に全米の病院ランキング一位に選ばれている施設であり, 臨床・研究・教育において世界をリードしています。Mayo Clinicの所在地で、現在私が生活しているロチェスター市は人口約11万人と比較的小さな都市です。住民の多くが病院関係者ということもあり、治安が非常によく、みな親切であり日本人にとっても非常に住みやすい環境です。気候に関しても、夏は暑くはなりますが湿度も低く、過ごしやすいです。一方で、アメリカの最北に位置するミネソタ州は、寒波が襲来するとマイナス20度にもなるらしく、冬は過酷です。研究面に関してですが、主にHFpEF患者を対象として運動負荷による血行動態評価を行っております。エルゴメーターもよる運動負荷施行前後において、心臓超音波、右心カテーテル、呼気ガス分析を施行することで、多面的にHFpEFの病態生理の解明に取り組んでおります。私たちはリサーチフェローという立場であるため、研究への同意が得られている患者以外とのコンタクトは禁止されており、カテーテル検査室が唯一の実地研究の場になります。Borlaug先生のカテーテル検査の手技の見学や、血行動態に関するレクチャーを受けられることは非常に貴重な経験となっております。そのほか、論文指導や査読などの機会も与えていただき、大変勉強になっております。最後になりますが、週末は基本的に休みであるため、プライベートも非常に充実しております。もともと自然観光が好きだったこともあり、アメリカの国立公園への旅行に魅了されております。夏休みにレンタカーを借りてグランドサークルを約一週間で3000キロドライブしたのは良い思い出です。また、メイヨークリニックは日本人留学生が多いこともあり、週末に家族で交流したり、アメフトや野球、ゴルフのスポーツ観戦をしたりと、楽しく過ごしております。この度は、貴重な海外留学の機会を与えてくださり、大変ありがとうございます。この場をお借りして、上原記念生命科学財団の皆様、北海道大学循環病態内科学教室の諸先生方に深く感謝を申し上げます。83Department of Cardiovascular Medicine(北海道大学循環病態内科学教室)Mayo Clinic多田 篤司勤務先のMayo Clinic Hospital, Saint Marys CampusMayo Clinic留学手記
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