シカゴはアメリカの中西部に位置する街でアメリカ第3の大都市になります。冬は氷点下20度になることもありますが、梅雨はなく夏はとても過ごしやすい気候です。冬を除き、春から秋にかけて市内の至る所で無料コンサートや様々な国のイベントが行われており、いつも観光客で賑わっています。また、シカゴ市内にはノースウェスタン大学、シカゴ大学、イリノイ大学、ラッシュ大学などがあるため日本人研究者も比較的多く、日本人研究者の会として家族ぐるみで定期交流しています。研究や生活のことを気軽に相談できる仲間も多く、家族にとっても日本人の友人ができるため日本ロスを感じることも少なく、家族連れの留学先としてもおすすめです。私の留学先であるノースウェスタン大学医学部はシカゴのダウンタウンに位置し、大学として1851年創立で歴史は長く、過去に多数のノーベル賞受賞者を輩出している名門私立大学です。私はその中でアレルギー免疫部門のKato研究室にて副鼻腔炎の撲滅を目指して日々奮闘しています。ノースウェスタン大学は副鼻腔炎の研究に関して世界でも珍しい先進的な研究施設です。学内に臨床医(耳鼻科、アレルギー科など)と基礎研究者が共同運営するSinus Allergy Centerが存在し、その中にそれぞれ独立したPIが所属しながら様々な研究が行われています。そのため、研究内容は基礎研究から臨床研究まで多岐にわたり、この10年間で本関連施設から240本の副鼻腔炎に関する論文が報告され、2023年の研究ランキングでは副鼻腔炎において世界で最も影響力のある研究施設としてランクインされています(https://www.expertscape.com/ex/sinusitis)。私個人の研究としては、副鼻腔炎の本質的な病態解明を目標に、難治性の副鼻腔炎に好発する鼻茸や血液を用いた基礎研究を行っています。日本で行ってきた研究の延長線上にあるテーマではありますが、求められているレベルが高く、必死に食らいついていくことで少しずつ成長できていることを実感しています。まだまだ未熟な英語力やプレゼン力に加え、質問のレベルの高さに日々圧倒されていますが、この素晴らしい研究環境にとても満足しています。私生活についてですが、私は妻と2歳になる娘を連れて渡米しました。妻は渡米時には第二子を妊娠中であったためとても苦労をかけました。周囲の手厚いサポートもあり無事に出産を迎えることができ、次女が生まれた2023年夏は一生忘れられない思い出となりました。最近では、休日はラボのメンバーや友人ファミリーと集まり季節のイベントに参加し、私生活を通しても日本では学ぶことができなかった多様性や国際的な視点について学んでいます。また、長女は地元のPreschoolに通い始め、自分以上に英語や多様性を学んでいます。異国の地であるため小さなトラブルは日常茶飯事ですが、家族一丸となって充実したシカゴ生活を送ることができています。最後に、このような貴重な留学の機会をご支援いたただきました上原記念生命科学財団や、日々サポートしてくれている妻に心より感謝申し上げます。帰国後はこの経験を日本に還元し、また日本とアメリカの架け橋となれるような存在になれるよう引き続き精進して参ります。84木戸口 正典Northwestern University FeinbergSchool of Medicine(福井大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科)ミシガン湖からシカゴの街並みノースウェスタン大学シカゴ留学記
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