一年のあゆみ2023
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私は2022年9月からカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)小児科神経部門の成相宏樹先生のラボで脳波の研究をする機会をいただきました。成相先生はUCLAの小児科神経部門において特にてんかん外科部門のリーダをされていて、頭皮上脳波や頭蓋内脳波を用いた研究をされています。私は主に難治性てんかんに関わる脳波を用いたバイオマーカーの探索をシグナル処理や機械学習を用いて行なっています。成相先生のラボには東京医科大学の小穴信吾先生と私の2人が研究員として所属し、他に工学部や成人神経内科のチームと研究を進めています。週に2回ほどある工学部とのミーティングでは、シグナル処理やディープラーニングについて年齢の近い工学部のメンバーから教えを乞いながら、大変有意義な時間を過ごしています。成相先生は同じ科内の医師だけでなく、他科や別の学部とのコラボレーションを重視されていて、この幅広いネットワークがアメリカでの研究の魅力の一つだなと感じています。生活面では英語での会話や手続きなど苦労することも多かったのですが、みなさんコミュニケーション能力が高く、少しずつ慣れていくことができました。ロサンゼルスはアメリカの中でも特に人種が多様性の溢れる地域であることもあり、日本やアジア系スーパーなどが充実しています。苦労を分かち合える同じような日本人留学生もロサンゼルスには多く、日本人医師や研究者のコミュニティー交流も盛んです。医学系のみならず様々な分野の日本人研究者たちとも交流する機会があり、みなさんの大変ながらも充実した研究や生活の話を聞き、刺激をもらっています。また、アメリカの文化として家族との時間を大切にする雰囲気が強いと感じました。それに習い、時折妻とスポーツ観戦や、国立公園に足を運び、日本とは違った経験をすることができています。特にヨセミテ国立公園やグランドキャニオン国立公園は壮大で自分の小さな悩みなど吹き飛ぶような感じがしました。金銭面は円安もあり大変厳しいものがあるのは事実ですが、日本では病院の中にいる時間が長かったため、外に出て自分自身を見つめ直す良い機会でもあると感じました。留学を開始し1年半になりますが研究面、生活面ともに良い経験になると実感しました。最後になりますが、このような貴重な経験に際し多大なご支援をいただいた上原記念生命科学財団に心より御礼申し上げます。90代田 惇朗David Geffen School of Medicine at UCLAUCLA Mattel Childrenʼs Hospital(国立精神・神経医療研究センター微細構造研究部)グランドキャニオン国立公園よりUCLA小児科留学記

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