私は2023年3月から2024年4月まで米国カリフォルニア州のビバリーヒルズにあるCedars-Sinai Medical CenterのBerman先生の研究室にvisiting postdoctoral fellowとして研究留学させていただきました。この度、その研究生活につき寄稿させていただきます。この病院は、カリフォルニア州におけるベストホスピタル1位で米国全土においても2位の病院です。心臓移植手術件数も年間400例以上施行され、世界でもトップクラスと考えられます。また、場所柄ハリウッドスターや一流スポーツ選手も受診されます。PIのBerman先生は心臓画像検査でご高名な先生であり、特に米国で心臓核医学検査を牽引されてきたことで知られています。また、彼の研究室から循環器医なら誰もが知っている10%以上の虚血に対してPCI施行により予後改善することを報告しています。私はこの研究室で心臓画像検査に関連した研究をさせていただきました。この研究室はAIと心臓画像の研究で有名なSlomka先生の研究室と共同研究も多くされており、多くの研究に携わらせていただきました。研究環境について週に2-3日は心臓CT検査と心臓MRI検査の読影を行い、読影医と所見付けを行いながら、ご指導をいただきました。心臓CT検査は1日に20-25件と日本の検査数と比較し約5倍多く、1年の留学期間でしたが、多くのことを学ぶことができました。読影の時間以外は研究に充てました。研究室には50-60個の研究課題があり、教授から割り当てられたり、希望すれば興味のある研究に参加できます。動脈硬化に集積する家族で留学したため、渡米前より子供に合った小学校をweb等で調べ、雰囲気がよく、日本人が比較的多く在籍しているFairburn elementary schoolに決めました。その学区であるウエストウッドはUCLAが近く、職員や学生が多く住むため治安が良く、夜も歩けるほどでした。子供の友達の繋がりでUCLAに研究留学されている先生とも家族ぐるみのお付き合いができ、キャンプやスポーツ観戦なども一緒にさせていただき、大変充実した生活を送ることができました。最後になりましたが、ご支援いただいた上原記念生命科学財団の皆様には心より感謝申し上げます。また、留学に際してお世話になりました池田隆徳教授、中西理子先生に深謝申し上げます。トレーサーである18F-sodium fluoride (NaF) を用いた冠動脈画像は急性心筋梗塞を来す冠動脈病変に集積することが知られ、近年注目されています。しかし、心臓CT検査より描出される冠動脈画像とPETから描出される動脈硬化の活動性を示す集積画像を同一画像に表現するには多くの課題があり、これまでの研究で多くの技術が開発されてきました。今回、18F-NaF PET冠動脈画像に対して次世代PET scanner使用による画質向上の検討を行いました。この検査の性質上、画質の改善が冠動脈の石灰化の活動性の診断能の向上に大きく寄与することが考えられ、次世代PET scannerを使用することで画質の向上を認め、日常臨床検査においても有用性の高い設定条件を算出しました。この成果を論文化し、現在投稿中です。ロサンゼルスでの生活について91橋本 英伸Cedars-Sinai Medical Center(東邦大学医学部内科学講座循環器内科学分野)Berman先生の研究室があるS. Mark Taper Foundation Imaging Center-Taper BuildingCedars-Sinai Medical Centerに留学して
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