一年のあゆみ2023
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私は2021年の4月から、アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルスにあるCedars Sinai Medical Center(CSMC)に留学しています。CSMCはロサンゼルス内のビバリーヒルズ地区に位置し、飲食店やスーパー、ショッピングモールなども多く、治安も非常に良い場所です。研究室では、アンジオテンシン変換酵素(ACE)及びアンジオテンシン2タイプ1受容体(AT1R)のcDNAをクローニングしたKenneth Bernstein教授の研究室で助教を務めているZakir Khan博士の下で免疫細胞におけるACEの機能解析やがん免疫に関する研究を行っています。施設の敷地は、病院を含め様々な研究施設から構成され、そのほとんどの施設が個人の寄付により建設又は維持されている建物で、バイオバンクを有するSteven Spielberg buildingや私の研究室の入っているDavis buildingなど約10棟の研究棟があり、免疫学や分子生物学、病理学など様々な研究分野の研究室があり、異分野の研究室との共同研究や病院併設の研究所のためトランスレーショナル研究を行う基盤が構築されています。また、周辺の研究施設についても、車で10分程度の場所にUniversity of California, Los Angeles (UCLA)やUniversity of South California(USC)など全米トップクラスの基礎生化学の研究室を有する研究施設が多数あり、共同研究やディスカッションを行いやすい環境にありました。実際に、私の実験ではヒトの免疫細胞を有した免疫不全マウスをUCLAとの共同研究で用い、ヒト化マウスの生体内でヒトT細胞とヒトマクロファージの免疫応答に関する研究を行っていました。さらに、年に1回CSMCやUCLA、USCなどのロサンゼルスにある研究施設合同でimmunologyに関する研究報告会があり、様々な研究者からの質問や指摘を得ることができ、研究の発展に向けて非常に良い討論を行うことが出来ました。研究室には私を含め5名のポスドクと2名のリサーチアシスタント及び2名の学生が所属し、中国やインド、アルゼンチンなど様々な国からの留学生が研究を行っており、英語での会話も含め、研究への取り組み方や考え方など様々な面で日々刺激を受けています。週末は実験に加え、論文や研究費の申請書の執筆等に時間を割くことも多いですが、車を持っていればロサンゼルスから気軽に国立公園やラスベガス、サンディエゴ、エンジェルススタジアムなどの様々な観光名所に出かけることができ、私や家族がリフレッシュするのにとても良い環境でした。また、日本から留学されている先生方や駐在の方、MBAなどの学位を目指し留学されている方などとの交流が多く、今まで出会えなかった方たちと出会えたことは今後得ることが出来ない経験だと思います。最後になりますが、このような貴重な留学経験をご支援いただきました上原記念生命科学財団の皆様に深く感謝申し上げます。92柴田 智博Cedars Sinai Medical Center(信州大学医学部外科学教室乳腺内分泌外科学分野)ラボのあるDavis Buildingの外観ロサンゼルスでの研究留学生活

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