一年のあゆみ2023
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2023年4月より英国、Imperial College LondonのMechanical Engineering部門でResearch Fellowとして、Andrew Amis教授の指導の下、膝関節の手術に関するバイオメカニクスの研究を行っております。私の所属するBiomechanics Groupは、1965年に整形外科医、Michael Freeman先生とエンジニア、Alan Swanson先生により創設された研究室で、初期の人工膝関節などの研究開発で有名です。現在は大学院生を含め、約30名の研究者が滞在しており、日々整形外科関連のバイオメカニクスの研究に励んでおります。私の日本での専門は膝関節の手術で、その中でも特に膝周囲骨切り術という手術に興味を持って研究等に取り組んできました。こちらでも膝周囲骨切り術に関連する研究を考案し、渡英後から徐々に研究の準備を開始、研究に用いる機器の故障など、様々なトラブルがありましたが、2024年に入ってようやく最初の実験を開始することができ、現在まさに実験を行っている最中です。英国には2年弱滞在する予定を考えており、他にもいくつか研究を行えればと思っております。また、研究以外にも、ロンドンの整形外科医の先生方と知り合うことができたため、定期的に手術を見学させていただいております。上記の英国での活動の他に、昨年、私が所属するESSKA(欧州スポーツ外傷・膝外科・関節鏡学会)が欧州における膝周囲骨切り術の認定プログラムを作成した際、ChairmanのSteffen Schroeter教授(私が2年前にドイツに1年間滞在していた時の上司)より誘っていただき、プログラム作成に携わることができました。また、実技試験の講師にも選んでいただき、昨年11月にフランス・ナントで行われたコースに参加しました。また、昨年11月にポーランド・ワルシャワで開催されたESSKA Speciality Days 2023という研究会において、膝関節手術に関するショートレクチャーを担当させていただきました。その他にも、欧州に本拠地を置く、外傷治療で有名なAO財団の技術委員会の一つである、Deformity Correction Planning Task Forceというチームの正式なメンバーに選んでいたただき、人工知能などを用いた下肢の変形矯正の手術計画ソフトの開発ミーティングに定期的に参加しております。上記のように、上原記念生命科学財団よりいただいた助成金により、欧州で非常に有意義な経験をしております。この場を借りて深謝いたします。残り1年程度の滞在になると考えておりますが、後悔のない留学生活であったと言えるよう、ラスト1年頑張りたいと思います。帰国後は、海外で得た経験を活かして、膝関節疾患を持つ患者さんに貢献できるよう、臨床・研究・教育に従事したいと考えております。96子島 俊太郎Imperial College London(横浜市立大学整形外科)ユーロスターの発着駅であるセント・パンクラス駅欧州留学だより

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