公益財団法人 上原記念生命科学財団

設　立　趣　意　書

財団法人　上原記念生命科学財団発起人会

　早いもので、上原正吉氏が死去されてから２年近い月日が過ぎました。上原氏は生前、資源の乏しい日本が世界で繁栄していく為には、 衆知を集めた科学技術の振興以外に道はない、そのためには研究活動が各分野内にとどまることなく、広く学際的な交流をもったものであることが 必要である旨を力説しておられました。一方若手研究者の将来性ある研究が、経済的理由で挫折したり、日の目を見ずに終ることを残念に思い、 何か側面から援助したいと望んでおられました。上原氏がこのような考えを特に強くされたのは昭和40年第二次佐藤内閣に入閣して、 国務大臣科学技術庁長官・原子力委員長に就任された頃であり晩年には自分の財産の一部をこのような目的のために役立てたいと言っておられました。 上原氏が世を去られた後月日も流れ、少し落ちついたところでご家族の間で相談がもたれ、又、有識者の方々の意見も参考にして、故人の遺志を生かす 方法が検討されてきました。一方上原氏が一生を捧げ、晩年には名誉会長をしておられました大正製薬株式会社が今年創業70周年にあたり、 これにふさわしい有意義な企画として、 上原氏の遺志の具体化に向けて是非協力させて貰いたいとの申し入れがありました。このたび遺産の一部である 上原夫人名義の大正製薬株式会社株式と、上原夫人、ご子息昭二氏の提供にかかる寄付金と大正製薬株式会社の寄付金をあわせて財団の基金とし、 上原記念生命科学財団を設立いたすことになりました。その目的とするところは「医薬品の開発をはじめとする生命科学に関する諸分野の研究を奨励し、 もって国民の健康と福祉の向上に寄与すること」であり、この目的を実現するため次の事業を行うことにしております。

• １．生命科学に関する分野の研究に対する助成
• ２．生命科学に関する分野の研究業績に対する褒賞
• ３．生命科学に関する分野の研究者の派遣及び招聘並びにその助成
• ４．生命科学に関する分野の研究会、講演会及びシンポジウムの開催並びにその助成
• ５．生命科学に関する分野の研究成果の刊行及びその助成
• ６．その他財団の目的達成のために必要な事業

　故人の遺志を一時的なものに終らせることなく、永く堅実な財団の活動を通じて、目的達成に向かってわずかなりとも貢献してゆきたい というのが財団設立にあたっての発起人一同の願いであります。